音は振動のしかたで3つに分けられます。振り子のように単純な振動だけでできているものが純音、規則のある振動が続くものが楽音、規則を認めにくい振動によるものが噪音です。
| 種類 | 振動 | 例 |
|---|---|---|
| 純音 | 単振動だけ | 時報・音叉 |
| 楽音 | 規則のある持続 | 旋律を奏でる楽器の音 |
| 噪音 | 規則を認めにくい | 打楽器・子音 |
音楽に使われるのは楽音と噪音のほとんどです。純音は楽器からほとんど出ません。ピアノや木琴は、打たれた瞬間に噪音を発し、その直後から弦や板の楽音が続きます。1つの音の中に両方があるのがふつうです。
楽音の性質は3つで決まります。高さ・強さ・音質です。
| 要素 | 何で決まるか |
|---|---|
| 高さ | 振動の速さ。1秒間の振動数をヘルツで表す |
| 強さ | 振動のエネルギーと、空気への伝わりかた |
| 音質 | 振動の様相。おもに倍音の含まれかた |
人の耳に聞こえるのは、低いほうの限界がおよそ16から20ヘルツ、高いほうが1万から2万ヘルツあたりまでです。これを可聴限界といいます。音楽で実際に使われるのはそのうちの一部で、88鍵のピアノの音域がおよそ30から4千ヘルツにあたります。強さは聞く人の側でも変わります——音源からの距離や向き、壁の吸収のしかたで、同じ演奏が違う大きさに聞こえます。
高さには基準が決まっています。第二次世界大戦のあと、ラ(イ/A4)を440ヘルツとすることが定められ、これを国際高度といいます。ただし今日の演奏会では442ヘルツが使われることが多く、こちらは演奏会高度と呼ばれます。
楽器を合わせるとき、オーケストラがオーボエの出すラにそろえるのはこのためです。同じ音でも団体や時代でわずかに高さが違い、古い時代の楽器ではさらに低い基準が使われます。
3つ目の音質が、この節の主題につながります。同じ高さの同じ強さで鳴らしても、ヴァイオリンとフルートは違って聞こえます。その違いを作っているのが倍音です。
弦や管を鳴らすと、目的の高さの音と同時に、その整数倍の振動数の音が自然に生じます。もとの音を基音、それ以外を倍音といい、倍数にしたがって第2倍音・第3倍音…と呼びます。100ヘルツの音を出せば、200・300・400ヘルツも一緒に鳴っているということです。
倍音は一様には含まれません。楽器・音高・奏法によって、強く出る倍音と弱い倍音があります。人の耳はそれを直観的に総合して、基音の持つ音質として感じ分けています。
ピアノで低い音を強く弾いて静かに聞くと、いくつかの倍音が聞きとれます。基音とオクターブの関係にある第2・第4・第8倍音はよく協和するため、かえって聞きとりにくく、第3・第5・第7・第9倍音のほうが聞こえやすいものです。
倍音列の下のほうに現れる音ほど、基音とよく溶け合います。完全8度・完全5度・完全4度が協和音程と呼ばれるのは、この並びの順序と重なります。
金管楽器は、管の長さを変えずに唇の振動だけで倍音列の音を選び出せます。ラッパの信号がドとソとミでできているのはこのためです。
どの倍音が出るかは管のかたちでも変わります。両端が開いた開管楽器(フルートなど)はすべての倍音を含みますが、片方が閉じた閉管楽器(クラリネットなど)は奇数番目の倍音しか鳴りません。同じ木管でも音色が違うのはこのためです。