2音の上下を入れ替えることを音程の転回といいます。低いほうの音を1オクターブ上げるか、高いほうの音を1オクターブ下げるかのどちらかで、どちらでも結果は同じです。
転回した音程の度数と種類は、もとの音程から計算できます。覚えるのは2つの規則だけです。
見つけかた
度数は9から引きます。3度を転回すると 9−3 で6度になります。
種類は入れ替わります——長は短に、短は長に、増は減に、減は増に。完全だけはそのままです。
長3度なら、度数は6度、種類は短になります。答えは短6度です。
例題
次の音程を転回した音程は何度ですか?
正解: 完全4度
譜例の音程は完全5度(C-G)。転回すると完全4度(G-C)になります。転回では度数を9から引き、長↔短・増↔減が入れ替わります(完全は完全のまま)。
| もとの音程 | 転回後 |
|---|---|
| 完全1度 | 完全8度 |
| 短2度 | 長7度 |
| 長2度 | 短7度 |
| 短3度 | 長6度 |
| 長3度 | 短6度 |
| 完全4度 | 完全5度 |
| 増4度 | 減5度 |
| 完全5度 | 完全4度 |
| 完全8度 | 完全1度 |
この表は、幹音どうしの音程を覚える手間を半分にしてくれます。6度と7度をひとつずつ覚えなくても、3度と2度を知っていれば転回で出せるからです。ミ–ドが何度かを知りたければ、ひっくり返してド–ミが長3度、だから短6度、と出せます。
度数の和が9になるのは、真ん中で共有される音(ド–ミとミ–ドならミ)が両方の音程に数えられるためです。オクターブの8に、共有ぶんの1を足して9になります。
複音程は、いったん単音程に直してから転回します。長10度を転回するときは、長3度に直して短6度を出し、必要ならまたオクターブを足します。
転回はただの計算術ではなく、実際の音楽の中で起きていることでもあります。和音の転回形(第7章)は、和音を作る音程がまるごと転回された形です。四声体で声部が交差すれば、そこにあった音程は転回した姿で現れます。対位法では、上下の声部を入れ替えても成り立つように書く「転回対位法」という技法があり、そこでは転回後の音程が協和になるかを計算しながら旋律を作ります。