一部形式・二部形式・三部形式が、あらゆる楽曲の基本の形です。これらを土台にして組み立てられた形式を応用形式といいます。なかでも三部形式を大きく育てたものが大半を占めます。
| 形式 | 組み立て |
|---|---|
| 複合三部形式 | A・B・Aの各部が二部形式や三部形式 |
| 小ロンド形式 | 主題が3回(A-B-A-C-A) |
| 大ロンド形式 | 主題が4回(A-B-A-C-A-B-A) |
| ソナタ形式 | 提示部・展開部・再現部 |
| ロンド・ソナタ形式 | ロンド形式とソナタ形式を合わせた形 |
| 変奏曲 | 1つの主題を変えながらくり返す |
| 幻想曲形式 | 決まった形に当てはまらない |
複合三部形式は、三部形式のA部とB部がそれぞれ二部形式や三部形式として独立している大きな三部形式です。先ほどの小三部形式は、これと区別するための呼び名でした。行進曲や舞曲によく使われます。
複合三部形式の中間部をトリオといいます。もとは3声部で書かれた曲を指すことばで、17世紀の舞曲などで中間部が実際に3声部で書かれていたことに由来します。
ロンド形式は、主題とエピソードが交互にくり返される形式です。主題が3回の小ロンド形式は単純ロンド形式、4回の大ロンド形式は近代ロンド形式ともいいます。
〈エリーゼのために〉が小ロンド形式の代表です。よく知られたこの旋律がA(主題)で、これが3回もどってきます。あいだに2つのエピソード(BとC)がはさまり、A-B-A-C-A の並びになります。
ソナタ形式は、いちばん完成した形式とされています。ただし骨組みを見れば、これも三部形式を大きく育てたものです——2つの主題を示し(提示部)、それを断片にしたり調を移したりして展開し(展開部)、もう一度示して締めくくります(再現部)。提示・中間・再現という並びは、三部形式そのものです。古典派以降の器楽曲で、第1楽章によく使われます。
| 部分 | 中身 | 調 |
|---|---|---|
| 提示部 | 第1主題 | 主調 |
| 移行部 | ||
| 第2主題 | 属調ほかの近親調 | |
| コデッタ | ||
| 展開部 | 主題と動機の展開 | 次々に変わる |
| 再現部 | 第1主題 | 主調 |
| 移行部 | ||
| 第2主題 | 主調・同主調・平行調 | |
| コデッタ |
提示部の前に序奏が、再現部のあとにコーダが付くことがあります。コーダが大きく育って第2の展開部のようになったものは、終結部として4つ目の部分に数えます。
この形式の要は調です。第2主題は提示部では主調を離れ、再現部では主調に戻ります。長調の曲なら属調へ移るのがふつうで、短調の曲では平行調がよく使われます。
第1主題は力強く、第2主題は優美なものが多く見られます。大きな曲では第2主題がいくつもあり、まとめて第2主題群と呼ばれることもあります。逆に小規模なソナタ形式はソナチネ形式といい、展開部が簡単に済まされていることが多いものです。
変奏曲は1つの主題を変えながらくり返す形式で、変えかたの幅で2つに分かれます。主題の調・拍子・和声・旋律を大きく変えず、主に装飾を加えていくのが厳格変奏形式(装飾変奏形式)。主題の性格そのものを変えていくのが自由変奏形式(性格変奏形式)です。
〈きらきら星変奏曲〉で、主題がどう変わるかを見ます。第1変奏は旋律を16分音符で細かく飾ったもので、調も拍子も和声も主題のままです。厳格変奏形式にあたります。
低音に短い音型をくり返し、その上に変奏を積み重ねる書きかたもあります。オスティナート変奏と呼ばれ、パッサカリアやシャコンヌがこれにあたります。この2つは理論の上では区別されてきましたが、今日では同じ形式の別名と考えられています。
いっぽう、1つの主題を複数の声部が追いかけていく書きかたもあります。カノンとフーガです。
カノンは先行する声部をそのまま厳格に模倣します。フーガは主題を各声部が順に受け取ったあと、自由に展開していきます。どちらも模倣で進みますが、縛りの強さが違います。