曲の全体を、そっくり別の高さへ移すことを移調といいます。音どうしの関係は変えずに、指定された音程のぶんだけすべての音をずらします。
見つけかた
もとの旋律です。ハ長調の断片を、長2度上へ移します。
Engraved by Verovio 6.1.0-682d606 まず調を決めます。ハ長調の長2度上はニ長調——移調先の調号(♯2つ)を先に書いてしまいます。
Engraved by Verovio 6.1.0-682d606 あとは各音を五線の上で同じ度数ぶん動かすだけです。調号が引き受けるので、ファには♯を書かなくてもファ♯(嬰ヘ)として鳴ります。
Engraved by Verovio 6.1.0-682d606
移調では、半音の数ではなく綴りで動かします。長2度上なら音名を必ず1つ進めます。半音の数だけで動かすと、ミ♭(変ホ)をレ♯(嬰ニ)と書いてしまうような誤りが起こります。鳴る高さは同じでも、楽譜としては別の音です。
移調で変わらないものを確かめておきましょう。音符の長さ、拍子、休符、強弱、スラーやスタッカート——高さ以外は何も動きません。動くのは音の高さと、それに伴う調号・臨時記号だけです。逆にいえば、移調した楽譜を見てリズムが変わっていたら、それは移調の誤りです。
移調の向きには2通りの言い方があります。「長2度上へ」のように音程で指定される場合と、「ニ長調へ」のように行き先の調で指定される場合です。後者のときは、まずもとの調と行き先の調のあいだが何度かを求めてから動かします——ハ長調からニ長調なら長2度上です。
楽譜の世界でふつうに使われるのは前者の言い方です。移調は調そのものより高さを動かす操作なので「何度高く移調する」といい、「何調へ」という言い方をするのは転調のほうです。
調号を使わず、臨時記号だけで書かれた曲もあります。その場合も考え方は同じで、いったん調号のある調として読み替えてから移し、最後に臨時記号を処理します。
五線の上での動かし方には、簡単な確かめがあります。2度・4度・6度……のように偶数の度数で動かすときは、線の音は間へ、間の音は線へ移ります。逆に3度・5度・7度……の奇数で動かすときは、線は線へ、間は間へ移ります。書き終えてから一目で見直せる手がかりです。